アルマンブログ

理念共有と風土づくり

2018.09.15

社会環境は大きく変わってきている昨今。
そんな中、ベンチャー企業も次々と立ち上がる一方、無くなっていくのもあっという間という側面もあります。
一時的なニーズに着眼し企業したものの時代の変化の波にあっという間に飲み込まれ、ニーズがあっという間になくなり立ち行かなくなる事象は頻繁にあります。
当初は数年続いてもだんだんと事業が縮小し、最後には潰れてしまう会社も多々あります。
「何が足りていないのか?」一つのヒントになるのではないかと、株式会社ねぎしフードサービスさんの事例を記載してみました。。

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都心を中心に、牛たん専門店を展開する株式会社ねぎしフードサービスさんが「2011年度日本経営品質賞」中小規模部門を受賞しました。「ねぎしの5大商品」として「Q:クオリティ」「S:サービス」「C:クレンリネス」「H:ホスピタリティ」「A:アトモスフィア」を提供価値に掲げ、ロイヤルカスタマーを確実に増やし、業績を上げてきたことも大きいが、同時に「人財共育と自由闊達な組織風土作りを重要視し、対話による気づきを通した自己革新のための取り組みの展開」が高く評価されたことが今回の受賞につながっているようです。

当初、飲食業を開始したのは1970年代。当時は福島県を拠点として仙台、水戸、日立等に、東京で流行のカレー店やコーヒー専門店、郊外レストランを地方へ持っていくという多業態展開を行っていたそうです。ただ5年もすると同業態のライバル店が増え、店は陳腐化し出店地域も広げ過ぎたゆえ、管理と教育が行き届かなくなり、経営が成り立たず結果的に永続性につながらなかったそうです。
この失敗を踏まえ、仙台で出合ったヘルシーフードの牛たんにとろろを加え、食事性の強い定食として市場規模の大きい東京で店舗展開することにしたそうです。それが牛たん・ねぎしの始まりだったとのことです。
そして、この時、100年続く永続性のある企業を作ること、そのために経営理念とビジョンを明確にし、人財共育と風土づくりを徹底させることを決めたとのことです。

「売上や利益の追求だけで企業は存続しない。自社の果たすべき役割や存在価値を明確にし、それを従業員全員で共感しながら前へと進んでいける仕組みにしないと、結局、企業としての永続性はない」と考えたそうです。

特に大事にしているのは「働く仲間の幸せ」との事。「ねぎしという会社を素晴らしいものにするためにも、私たちは働く人の満足を第一に考えています」との事です。

・・・・ねぎしでの具体的な取り組みです。
まずは「経営理念」の徹底した共有です。

『ねぎし精神』として経営理念を掲げています。働く仲間全員が常に同じ方向を向いて進んでいくため、経営理念の共有は必要不可欠なものと考えているとの事。

理念の共有には繰り返しが大切との考えから、朝礼・夕礼では必ず全従業員が「経営理念」を唱和するそうです。しかも、朝礼ではその都度、理念の一節を抜粋し、従業員がそれについての感想や意見を述べる『今日の一言』という機会も設けられている世の事。例えば、「お客さまの喜びを自分の喜びとして」とはどういうことなのかを、その日指名された従業員の一人が自身の体験をもとに語り、それをみんなで共有するという具合です。
また「私と経営理念」と題した作文も年1回、社員、アルバイト関係なく、全従業員が書くことになっているそうです。特に自分の思いや体験を文章にすることで、改めて自らのあるべき姿に気づき、一つひとつの仕事の意味もわかってくる。そうすると、日々の行動の変化にもつながるとの事です。

現在、同社の従業員の87%がアルバイトであり、そのうち25%が外国人で、ねぎしでは、この外国人にも経営理念を理解してもらうため、経営理念を翻訳し、中国語で唱和しているとの事です。
中国人スタッフが約9割を占める秋葉原店では、経営理念を日本語で唱和した後、全員で、中国語で唱和しているそう。そもそもお客様に喜んでもらうことが自身の喜びになるという感覚が分からないと言っていた中国人のアルバイトたちも、唱和を繰り返す中で次第に理解を深め、同時に店頭で実際に接客し、その意味を体験することで本来のサービス業を深く知るようになっているとの事です。

このように社員・アルバイト、日本人・外国人といった区別なく、誰もが「ねぎしの一員」だという意識で業務に取り組んでいるとの事。
また、組織力向上の秘訣がPDCAの回し方です。「P(計画)、D(行動)、C(対話)、A(改善)(※ねぎしでは、Cは評価ではなく、CommunicationのCとしている)のうち、Dから参加したのでは他人ごとになってしまう。P、すなわち計画段階から参画することで当事者意識が芽生え、率先して自分がすべきことに挑戦するようになる。そのため、必ず全スタッフがPの段階から参画する仕組みにしているとの事です。

また、人財共育として店長のリーダーシップ力と店舗のチーム力向上のため、年2回、クレンリネスコンテストを行っている。もちろん店舗の清潔感と清掃状況を競うコンテストでもあるそうです。
例えばクレンリネスコンテストで下位になった店舗では、改善のための計画を全員で話し合い、『キレイになっていたよ』などと対話しながら改善し、その結果をさらなる計画に生かしていくようにする。実際、入社数カ月のパートナー(アルバイト)でも自由に意見を言っていますし、他のスタッフはそれをちゃんと聞いている。その自由闊達な雰囲気こそが、ねぎしの財産になっているとの事です。
社員とパートナー(アルバイト)の差は雇用形態だけ。店長になるまでの職務基準は全員まったく同じというのも、同社の大きな特徴とのことです。

その職務基準となっている人事評価制度が「ねぎしキャリアパスプラン」。
新人で入った時に覚える職務要件から店長になるまでの職務要件を100項目提示した「100ステッププログラム」をもとに、対人関係能力や問題解決能力をスキルアップしていく仕組みになっているとの事。100項目は6段階の職位に分けられ、それぞれのスキルを修得するごとに昇給昇格できるようになっている。職務要件に関しては、全スタッフが毎月面談で店長から達成状況のフィードバックを受け、それが次の目標設定につながっている。職位はスタッフボードに掲示しているので、全員の進捗状況も一目瞭然だ。このキャリアパスプランは18年前に店長プロジェクトで作成し、店長たち自ら毎年修正しているそうです。

「どこまで頑張れば昇給できるかをしっかり“見える化”しているので、むやみに時給を上げてほしいなどと言ってくるスタッフはいません」

さらに、従業員のモチベーションアップにつながっているのが、全店全テーブルに置かれている常設アンケートハガキ。「本日輝いていたスタッフの名前をご記入ください」という欄があり、そこに名前を書かれたスタッフは、毎月表彰されることになっているとの事。

「表彰理由を全従業員で共有するため、名前の書かれたハガキはすべて毎月コピーし、全店舗へ配布しています。同時に『親切賞』として、コメントをそのまま貼り付けた賞状を本人に渡しています」

自分と同じ店舗内に、なかなか名前を書いてもらえない従業員がいれば、同僚が「絶えずお客様には関心(目配り、気配り、心配り)を持って接するようアドバイスをし続ける」などとフォローすることも多いそうです。日々、改善のためのPDCAに取り組んでいるからこそ、おのずと店舗内のチーム力も高まっているとの事。
以上、様々な取り組みの一部を紹介してきたが、こうしたマネジメントに関する仕組みづくり、ルールづくりは基本的に店長が担当しているという。

「全30店舗の店長が、Q(クオリティ)、S(サービス)、C(クレンリネス)&H・A(ホスピタリティ&アトモスフィアー)といった5つのプロジェクトチームをそれぞれ4~5人ずつで結成し、定期的に集まって課題解決に取り組んでいます。店舗で使用しているマニュアルや、先ほどの100ステッププログラムも、店長プロジェクトから生まれています」

現場の店長が作るので、極めて実践的な内容になるほか、自ら作ったものだからこそ、積極的に運用しようという気持ちが店長自身にも働き、リーダーシップを発揮してくれるそうです。

「大切なのは、今日の親切が、明日のねぎしをつくるという思い」それを具現化するにはどうすればいいかと常に全員で考える。「とともに全員参画型の経営こそがねぎしの一番の特色。会社としてやるべきことは、全従業員が働く喜びを感じられる環境と仕組みを用意すること。

もちろん、中には「朝礼の唱和が嫌だ」「割り切って働きたい」などと言って辞めていく人もいる。しかし、ねぎしのやり方に共感してくれた人は本当に長く働き続けてくれるという。実際、社員の離職率は年々下がり、現在毎月平均2%弱となっているとの事。同様にアルバイトの離職率も毎月平均6%以下とかなり低くなっているそうです。
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オーダーメイド収納ラック ミスター・アルマンを運営する株式会社シンドーも理念経営を軸に会社運営が行われています。上記にある、ねぎしさんの取組みに類似した「理念の共有」や「利他の心」「豊かな心持ち」等の教育の取組みも多く行っています。

不易流行・・・時代の流れに応じて変えていくもの、変えてはならないものの判断が重要だと思います。

教育は繰り返し、繰り返し、粘り強く行っていく事が教育だと言われ、伝えられなかった方が力不足という、言われ方をします。間違いではないと思いますし賛同もできます。
ただ、受け取る側の素養の問題もあるんじゃないかな・・・・。

(by JunJun)

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